大会長挨拶

大会長
第59回日本小児歯科学会大会
大会長 山﨑 要一 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 小児歯科学分野 教授

新型コロナウイルス感染症の国内発生から1年以上が経過しました。

この間、我が国においては様々な対策が講じられて参りましたが、未だ収束が見通せない上に、数種の変異株の出現による新たな感染拡大も懸念されております。このため、誠に残念ですが、今大会は鹿児島での現地開催を断念し、Web開催とすることで準備を進めております。

終わりの見えない感染症に加え、豪雨や地震による大規模災害が頻発する中で、被害に遭われました皆様には心よりお見舞い申し上げますとともに、日々、感染症対応にご尽力頂いております医療・行政関係者の方々に深謝致します。

さて、今大会は、先達が築かれた小児歯科学の発展の歩みを加速させ、より良い研鑽の場を提供したいと考え、大会テーマを「新しい時代の小児歯科、維新の風は南から」と定めて、小児歯科学の最新トピックスと小児歯科臨床にとって大切なマインドに焦点を当てて企画致しました。

また、Web配信は15日間として、6月6日(日)は特別企画(特別講演Ⅰ・Ⅱ、シンポジウムⅠ・Ⅱ、教育講演)を中心とした開会式から閉会式までを先行配信し、7日(月)から20日(日)までは全プログラムの公開を予定しております。

企画内容に関しまして、特別講演Ⅰでは睡眠研究の第一人者である米国・スタンフォード大学の西野精治教授に睡眠医学の基礎と最新知見について、特別講演Ⅱでは鹿児島大学の杉浦 剛教授に口腔がんについて小児歯科関係者が知っておくべき事項をご講演頂きます。さらに、シンポジウムⅠでは口腔機能発達不全症に関して、日本歯科大学の田村文誉教授、広島大学の津賀一弘教授、鹿児島大学の稲田絵美講師にそれぞれのお立場から基礎と臨床についてお話し頂きます。シンポジウムⅡでは咬合治療に関して、大会長の基調講演に続き、徳島県の枡富由佳子先生、鹿児島県の石谷徳人先生にご講演頂き、小児歯科医療の将来を担う若い先生方への熱いメッセージを発信して頂きます。教育講演では、奄美大島で保護司を務められ、多くの悩める若者の更生に尽力されている三浦一広氏に、青少年の支援活動についてお話し頂きます。その他、受賞記念講演、委員会企画、一般発表、商社展示・共催セミナーなどを予定しておりますので、皆様のご参加をお待ち申しております。

今大会は,60年近い小児歯科学会の歴史の中でも初めての試みとなるWeb開催となり、これまで蓄積して参りました学会開催のノウハウがほとんど通用しない中で、できる限り良い形で全国大会としての機能を果たせるように、試行錯誤しながら準備を進めて参りました。

学会員の皆様に鹿児島へお越し頂くことを願っておりましたが、当地でお会いできないことは誠に残念であり、心よりお詫び申し上げます。一方で、これまで様々なご事情で、数日かけての移動や滞在が難しかった方々にとっては、15日間のコンテンツ配信期間中に、ご自宅などのリラックスした環境下で自由な時間に学術大会をお楽しみ頂ける新たな可能性も期待されます。

学術大会の開催方法には、現地開催だけでなく、幾つかのオプションがあっても良いのではないかと感じて頂ける大会となることも目指しておりますが、未知の領域を手探りで開拓しながらの開催準備のため、行き届かぬ点が多々あろうかと存じます。今後のWeb大会やハイブリット大会開催の糧とするためにも、お気付きの点をご指摘頂けましたら幸いです。

最後に、この度の第59回大会開催にあたり、ご支援、ご尽力賜りました牧理事長をはじめ本会役員の皆様、商社ならびに口腔保健協会の関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。