大会長挨拶

大会長
第37回日本障害者歯科学会総会および学術大会
大会長 宮城 敦

昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)および集中豪雨などで被害や影響を受けられた皆様に心よりお見舞い申しあげます.

さてこの度,第37回日本障害者歯科学会総会および学術大会を関東障害者歯科臨床研究会が主管として開催させていただくことになりました.このような素晴らしい機会を与えられたことを誠に光栄に存じますとともに,会員の皆様に心より感謝申し上げます.何分にも初めての大きな学会で,関係者一同,その重責を感じて緊張しているところですが,鋭意努力して準備しておりますのでぜひともご参加を賜りますようお願いいたします.

2年前より開催のための準備委員会を結成し,議論を重ねて,当初は横須賀芸術劇場大ホールをメイン会場,同芸術劇場ベイサイドポケットをサブ会場としました.隣接するメルキュールホテル横須賀では,口頭発表や懇親会およびランチョンセミナーなどを,同じく隣接する産業交流ホールでは電子ポスター発表および各種会議室などを計画しました.大会場でありながら同じ敷地で移動の便を良くしたかったからです.

しかしながら,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延のため,開催形式について様々な観点から見直しを検討してまいりました.会員の皆様の安全を確保するには,ワクチンや特効薬が開発されていない現在,3密(密閉,密集,密接)を避けるしか対応法がありません.そこで,横須賀での通常開催を断念し,Web学会として開催する運びになりましたことを本学会参加予定の皆様にご案内いたします.

Web学会では自宅や職場など場所を問わず,24時間いつでも本学会にご参加いただくことが可能になります.ホテルや交通の手配なども不要で,会場の混雑や聴講したい講演の重複などを避け,興味ある発表を思う存分何度でも視聴することが可能です.内容に関しても通常の学会以上の講演,シンポジウム,セミナー,公開コンサート,一般口演発表,およびポスター発表などが目白押しです.質問もメールで各講演者や発表者に連絡することが可能です.

今回の学術大会のテーマは「誰も一人にさせない社会をめざして」としました。地域で暮らす障害者やその家族に寄り添って支えあう医療が求められています。そのことに近づけるような発表をお願いしたいと思います。会員の皆様におかれましては数多くご参加くださり、素晴らしい発表や真剣な討論をお願いいたします。

ここで一部の講演を紹介させていただきます.特別講演Ⅰ「自閉症スペクトラムへの対応」は横浜発達クリニック院長の内山登紀夫にお願いいたしました.先生は大正大学心理社会学部臨床心理学科の教授もされております.その他の大学でも教授職を兼任されていて自閉症の第一人者でいらっしゃいます.私の同僚の患者さんに先生と診療以外でもお付き合いされている方がいらっしゃる関係から,以前にご講演をお願いしたり,自閉症啓発活動に協力させていただいたりもした経緯があります.先生は英国のローナ・ウイング先生の元にも留学されており,自閉症の研究家のみならず,母親でもあるウイング先生の自閉症スペクトラムの提唱に大きく影響されたと考えております.

教育講演Ⅳ「筋ジストロフィーを知り、患者をささえる」は河原仁志先生にお願いいたしました.筋ジストロフィー専門病院である旧国立松江病院に勤務されているころお知り合いになり,講演をお願いしたり,共同研究に参加させていただいたりしました.松江病院退職後は最終的に神経難病や障害者のための診療所りべるたすクリニックで在宅診療をされています.医療の本質やその後の支えを追求されて日夜一生懸命診療に当たっています.ぜひご視聴くださるようお願いいたします.

今回の開催は関東障害者歯科臨床研究会(茨城県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県,東京都,山梨県,および神奈川県の1都7県)が協働で担っております.各県や市の歯科医師会,障害者歯科施設,および大学などのお力を借りてここまで来ることができました.関係諸氏に厚くお礼いたします.

日本障害者歯科学会史上初のWeb学会となりますが,通常学会よりも充実した学会を目指しております.皆様のますますのご発展とご健康をお祈りいたしますとともに,ご参加を心よりお待ちしています.