大会長挨拶

2010年3月に「日本歯科CAD/CAM学会」として設立してから10回目の学術大会を開催することができます。ひとえにご支援を賜っております会員の皆様方はじめ、関係各位に対しまして衷心より感謝申し上げます。

この間には、歯科医療の急速なデジタル化によってCTをはじめとする画像診断、電子カルテ、検査診断機器などが進化し、日常臨床が大きく変革してきました。2014年には広くデジタルデンティストリーの普及とともに機器、材料の開発や臨床的研究の基盤作りのために「日本デジタル歯科学会」として名称変更し、その後「一般社団法人格」も取得してきました。また、2015年にはチューリッヒで国際デジタル歯科学会が設立され、日本はキーメンバーとして当初から参画してきました。日本の歯科医療においても「CAD/CAM冠」が保険導入され、ジルコニアの臨床応用は審美修復のゴールドスタンダードとされていたメタルボンドクラウンを駆逐する勢いです。さらに口腔内スキャナーの普及は歯科医療者だけでなく、患者にも大きなメリットがあり、近々には医療保険への導入、モデルレスの時代も遠くはないと思えます。

このような歯科医療の重要なパラダイムシフトの時期に「第10回日本デジタル歯科学会」ならびに「第5回国際デジタル歯科学会」を併催できることは、日本の歯科医療の発展にとって大きな意味のあることだと思います。従来から日本の歯科医療、歯科技工は世界に冠たる技術力があり、さらに「デジタル力」が加われば、最高の歯科医療を提供することができます。いにしえの都である奈良で、最新の歯科医療であるデジタルデンティストリーを語ることは、大変意義深いことだと思います。今回は国際学会を併催することによって、世界の最新情報を研鑽するとともに日本の最先端の歯科医療を発信できることに大きな喜びを感じます。

日本の歯科医療を支える諸兄におかれましては、絶好の機会をお見逃しなく、ご参加賜りますようお願い申し上げます。

大会長 末瀬 一彦大阪歯科大学 客員教授