大会長挨拶Message from the Congress Chairperson

大会長
日本歯科保存学会2019年度秋季学術大会(第151回)
大会長 前田 英史九州大学 大学院歯学研究院 口腔機能修復学講座 歯科保存学研究分野

この度、第151回日本歯科保存学会秋季学術大会を2019年11月7日(木)~8日(金)の2日間にわたり、福岡国際会議場(福岡市)において開催させていただくこととなりました。九州大学 大学院歯学研究院 口腔機能修復学講座 歯科保存学研究分野 医局員および関係者一同、皆様をお迎えするのを大変楽しみにしております。

日本歯科保存学会は、ご承知のように歯内・修復・歯周の3領域が集合して構成されており、歯科の学会でも特殊な学会です。3領域の入口は異なっても目指す頂点は、「歯の保存」であります。10年前とは、社会情勢は格段に変化し、高齢化率の上昇とともに、疾患も変容して参りました。一方、マスメディアを通じて、歯の喪失は、寿命や認知機能、心血管疾患など全身の健康とも関連していることが、国民に広く知られるようになり、歯の保存への関心度が高くなっております。

そこで、今大会のテーマは、「保存治療が切り拓く歯科医療の未来 -The PRIDE of Conservative Dentistry-」と、いたしました。これは、「健全に歯を維持して健康寿命の延長に繋がる、新しい保存治療の技術あるいは機器等を開発し、歯科界全体を勢いづけ、次世代を担っていく若い世代の歯科医師の目標となるような高みを示していく」、ということを基本的な理念としております。

特別講演1では、現在、世界的に大きな潮流となっているバイオマスの研究について、国内のトップランナーの一人である、東京大学 大学院農学生命科学研究科 バイオマス化学講座 五十嵐 圭日子 先生に「歯と植物のバイオエコノミー:ある「種(たね)」から考えるバイオマスの持続性と再生可能なマテリアル」と題してご講演いただきます。そして特別講演2では、歯科医師であって、再生医療のベンチャー企業の㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 取締役 社長・執行役員の畠賢一郎 先生に「再生医療実用化の現状と課題-歯科領域との接点をいかに考えるか-」と題してご講演いただきます。

シンポジウム1は、「歯の再生への展望」と題して、iPS細胞を用いた歯の再生研究について、3名の先生方に講演していただきます。そして、シンポジウム2では、「保存治療のイノベーション」と題して、保存治療における重要課題の一つである「感染制御」について、最新の細菌学について学び、そして保存各3領域における最新のイノベーティブな対処法などについて4名の先生方に講演していただきます。

今学会は福岡での開催となり、何度も足を運ばれた方々も多くいらっしゃることとは存じますが、福岡の町は、毎年インフラなどアップグレードしており、同時に食文化も多様性を増しておりますので、新たな発見があるのではないかと思います。学術大会でオンになった頭を、福岡の町でオフにしていただき、2日間を存分に楽しんでいただけたらと思います。今大会が、「歯の保存」に向かって日々研鑽を積まれておられる皆様方にとりまして、歯科医療の未来を切り拓くゲートとなることを期待しながら、我々スタッフ一同、多くの方々のご参加をお待ちいたしております。