学会長挨拶

地域・社会から求められる口腔衛生学の専門性とは何か
大会長
第70回日本口腔衛生学会・総会
大会長 森田 学

皆さまにおかれましては、ますます御健勝にてご活躍のこととお慶び申し上げます。一般社団法人 本口腔衛生学会活動に、平素よりご高配賜り、厚く御礼申し上げます。

このたび、第70回日本口腔衛生学会・総会をweb 開催します。沖縄開催の可能性をぎりぎりまで待ちました。参加記念にとフェースシールドの手配を始めておりましたが、このような形になりました。閲覧期間は5月27日(木)~ 6月10日(木)の予定です。質疑応答ができないのは臨場感に欠けますが仕方ありません。ご容赦ください。2 年連続で現地開催が見送られることに伴い、発表演題数がどれくらいになるのか心配しておりました。学会活動まで自粛ムードになっては危機的状況ですので。おかげ様をもちまして、70 題を超える演題数が集まりました。会員皆様のご協力に感謝します。

さて、戦後ほどなくして設立された日本口腔衛生学会ですが、令和の時代を迎えても、大会を毎年開催できることに感謝したいと思います。これまでの諸先輩の方々のご努力に感謝します。会員数の減少、特に若い会員数の著しい減少が危惧されるなか、口腔衛生学のDNA が絶えないように、学会活動を続けなくてはなりません。本大会が、その一助になれたら幸いです。本大会は70 回の節目となる大会です。記念式典は、リアルタイムで開催します。この10 年間を振り返り、未来を語りあう催しですので、ぜひお見逃しなく。

プログラムを眺めて、昨今の大会に比べてメニューが少ないと思われた方もおられるでしょう。600~ 700名が集まる学会で、沢山のプログラムが同時並行で進むことに、私自身、少し違和感を持っておりました。どちらの演題・講演も聞きたいのに、一つを選ばなくてはならないジレンマは、どなたも経験されたと思います。また、シンポジウム型式のプログラムが優先され、一般会員の研究発表、すなわち、若手会員が最も輝くべき時間帯が少なくなったのではと思っておりました。そこで、あくまでも現地開催を想定して、メニューを絞っておりました。ところが皮肉なことに、オンデマンドのweb 開催こそ、豊富なメニューを用意できます。当初の目論見とは真逆の結果になってしまいました。

メインテーマを「地域・社会から求められる口腔衛生学の専門性とは何か」としました。これは、歯科の専門医制度が始まったことを受けたものです。本学会の目指す専門医制度は、社会系歯学を色濃く反映しているのはもっともです。しかし、臨床という側面も無視できません。私は大学病院予防歯科診療室で診療に従事していますが、専門医を育てられない診療科の存在価値が問われています。立場により意見はいろいろあろうかと思います。どのような形に落ち着くとしても、口腔衛生学の専門性を、社会(第三者)に認めてもらう大事なステップとなる学会です。

皆さまの、本大会へのご出席を心よりお待ち申し上げます。