大会長からのご挨拶

第26回一般社団法人日本障害者歯科学会
総会および学術大会
大会会長 石黒 光
準備委員長 本多 豊彦

一般社団法人 日本障害者歯科学会の会員におかれましては、それぞれの場で障害者歯科医療を含めた医療活動に、日々ご活躍されておられるとことと存じます。

さて、第26回日本障害者歯科学会総会および学術大会は、愛知県心身障害者コロニー中央病院歯科の担当により、名古屋国際会議場で開催のはこびとなりました。

本学会が名古屋で開催されるのは、糸山昇大会長のもと名古屋歯科医療センターが主管して以来25年ぶりのことになります。当時と比べると会員数も数倍に増加し、大会規模も格段と大きくなった本学術大会を、一地方病院の歯科が担当することになり、責任の重さとともに、大変光栄に感じております。開催にあたりましては、森崎理事長はじめ学会関係者の方々のご助言や、愛知県・名古屋市歯科医師会や愛知県歯科衛生士会の後援を得て、地元の学会評議員で構成した準備委員会を組織していただき絶大なご支援を得ましたことに、心より感謝申し上げます。

近年、障害者福祉の方向性は大きく変化し、障害の多様化、発達障害者の高齢化にくわえ、地域移行という大きな潮流が進んでいます。このような変化に対応して、障害者歯科医療を取り巻くニーズの多様化により、大きな変革を迫られています。一方、昨年より本学会も法人化し、より大きな社会的使命も課せられています。

今大会では、このような時代背景と本学会の果たすべき役割に鑑み「地域で生活支援型の口腔メンテナンスを」というテーマを掲げ、現状の問題点を明確にし、今後のあり方を皆さんと語り合いたいと考え、種々の企画をたてました。特別講演として「これからの地域療育のあり方」について、長年療育に携わってこられた高橋脩先生(豊田市こども発達センター長)にお話しいただき、教育講演では、地域で生活する障害者の人権という視点から西村弁護士(道央法律事務所)に「ケースワーカーみたいな弁護士~裁判における障がい者の人権~」と題し、本学会では初めての弁護士の講演を企画しました。また、高齢化問題については、障害者の成人内科の立場から吉田太先生(愛知県心身障害者コロニー中央病院副院長)に、「障害者の高齢化と医療的対応」についてご講演いただきます。

さらにシンポジウムとしては、愛知県歯科医師会と共同企画して「地域で障害者歯科医療を担う人材の育成を考える」をテーマに、各地の実践状況から問題点を議論していただきますが、それに先立ち、本学会初代理事長である上原進先生には、長年の教育現場や豊富な海外経験から人材育成のあり方について講演をしていただきます。一方、愛知県歯科衛生士会との共同企画では、「地域で生活する重度障害者の口腔のケアを考える -歯科医療職に期待する-」として、患者様自身や看護師、介護職の方々に私たちへの思いと期待を直に語っていただきます。一般市民向けには、療育や口腔機能の育成を地域で音楽療法を交えた活動を実践している“ミュータンズ”により、障害者の方々が一緒に参加し、楽しめる形のフォーラムを企画しています。

この他に、研究面で問題となる「倫理指針の改定について」や「インシデント等報告会」ではヒヤリハットについて報告いただき、会員に情報提供の場を設けるほか、4つの教育講座を予定しています。

また、日韓交流シンポジウムでは「障害者歯科の卒前・卒後教育の現状と今後」について両国の状況について議論していただきます。これらの企画に加え、大会史上最多の一般演題352題の口演発表とポスター発表を2日間で行うよう、会員が議論できるよう時間と場所に可能な限り配慮しましたが、関連領域の発表が多少重複するなどご迷惑をおかけしますが、プログラム構成上どうかお許しを願います。

本学会のさらなる発展に向け、多数の方々にご参集をいただき、名古屋の地でなごやかで活発な意見交換をしていただければ幸いです。

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