本文へジャンプ

大会長挨拶

総会長写真

第20回日本口腔感染症学会総会・学術集会 総会長 花田信弘

口腔・咽頭の細菌を調べると、セラチア、緑膿菌、肺炎桿菌、黄色ブドウ球菌など数多くの日和見菌が高頻度で検出され、様々な危険性を持つ細菌がここで増殖していることがわかります。むしろ何らかの日和見菌が検出されない人の方が少ないのです。歯科医療のプロセスにおいて口腔からこれらの菌を物理的あるいは化学的手法で除菌する努力が必要です。

インフルエンザなどのウイルス性呼吸器系感染症の多くは細菌性肺炎を続発します。70歳以上の市中肺炎では肺炎球菌、インフルエンザ菌、緑膿菌が主役を担います。細菌性髄膜炎は、細菌が持続感染する中空臓器(口腔・咽頭、鼻腔)から血液に侵入して、血液から髄膜に侵入することで髄膜炎を起こしますが、その原因菌は様々な口腔・咽頭の日和見細菌であり、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、ヒブ(Haemophilus influenzae Type b)あるいは肺炎球菌に限定されるわけではありません。

ヒトの細胞数は約60兆個ですが、ヒトに共生する細菌数は約100兆個です。この100兆個の細菌の「質」がヒトの健康を左右しています。人体は60兆個の生体細胞と100兆個の細菌細胞で構成された「超有機体」なので有用な細菌との相利共生(シンバイオシス:Symbiosis)が健康づくりの基本です。

乳幼児や高齢者のシンバイオシスは困難ではありますが、この課題を解決することは、口腔領域を専門とする臨床医と感染症の研究者、すなわち本学会に加入しているすべての会員の責務だと思います。

20周年記念大会である今回の学会の特別講演にはノーベル賞候補に挙がっている酸化チタンの「本多—藤嶋効果」で有名な藤嶋昭先生(東京理科大学学長)をお迎えして、光触媒の原理や歯科への応用をお話しいただく予定です。

本学術大会が新しい学問の地平を切り開き、口腔感染症の未来を創造する記念大会になることを願っています。皆様のご参加をこころよりお待ちいたしております。

  • HOME
  • 総会長挨拶
  • 開催概要
  • 日程表
  • プログラム
  • 参加登録
  • 演題登録
  • ICD講習会
  • 会場案内
  • 宿泊案内
  • リンク
  • お問い合わせ

ページの先頭へ戻る